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肩こりを予防するために必要な医学的根拠に基づいた行動3選



日本人における体の不調の上位には必ず「肩こり」がランクインされていることを皆さんはご存知でしょうか。


3年に一度行われる「国民生活基礎調査」において男性は過去に2回とも肩こりの有訴者率は第2位、女性は第1位となっております。(参考資料①)

これは日本に限った話ではなく、2016年に医学雑誌「Lancet」に掲載された195の国と地域からの疫学データの中で有訴者率の第1位は「lower back and neck pain」であると報告されています(参考資料②)。

 

テレワークが進む現代社会において、肩こりや不安・抑うつ傾向を訴える人は非常に多くなりました(参考資料③)。


肩こり予防の情報はインターネット、SNSの普及により、世の中に無数に存在し、情報が錯綜している状態であるといえます。(参考資料④⑤)


肩こりといえばすぐにストレッチや運動といったものを思い浮かべる方も多いと思いますが、それはあくまで対処法であって、予防には繋がらないケースが多いです。


今回は肩こりを予防するために必要な医学的根拠に基づいた行動3選をお伝えします。


<ライフスタイルについて>

肩こり予防というと、まずはストレッチと思われがちですが、実はライフスタイルに肩こりの発生要因が隠れております。


2019年に医学雑誌「BMJ open」に報告された論文では、以下の4つの健康的なライフスタイル行動の有無で肩こりの発生リスクがどう変化するかを報告しています。(参考資料⑥)

※アルコール摂取量の目安:ビール中瓶1本で20g(飲酒量の単位


結果として、この4つの健康的なライフスタイルがある人と1つもしくは全く該当しない人では、男性で2.5倍、女性で1.4倍も肩こりの発症リスクに差がありました。


肩こりがある人はまずライフスタイルの見直しを始めることが先決といえます。


<仕事について>

次に仕事内容で肩こりの発症リスクが異なるかをみた研究があります(参考資料⑦)


この論文では、「長時間の首曲がり」で2倍、「重量物の繰り返しの運搬」で1.4倍、「肩よりも上に肘がくる作業姿勢」で1.3倍と作業姿勢別で肩こり発生リスクが異なると報告されております。

上記の作業姿勢を強いられる作業環境にある場合は、「1時間に一度は休憩をする」、「重量物の運搬は2人もしくは機械を用いる」「踏み台を使う」など、作業環境に応じて肩こりが発生する姿勢を是正することが求められます。


<メンタルヘルスについて>

最後にメンタルヘルスについてです。心の不調と肩こりは一見、関係がないように思えますが、実はかなり関係が深いと報告されています(参考資料⑧)。


心にストレスがかかると自律神経と呼ばれる交感神経が活発となり、体が緊張し、首・肩の筋肉への血行が乏しくなります。ストレスを感じている時、首・肩が緊張し、肩が上がっていませんか?


肩にまつわる慣用句は心情を説明しているものが多く、心と肩こりの関係の深さを物語っているかもしれませんね(肩の荷が下りる、肩身が狭い、肩を落とすなど)。


「高い仕事の要求」、「仕事のコントロールができない」、「リラクゼーションタイムの不足」が肩こり発症リスクを高めると報告されています(参考資料⑨)。


自分自身だけではコントロールできない部分も多いですが、ストレスの基にうまく対処しようとするストレスコーピングを身につけ、ストレスを溜め込まないようにすることも肩こり改善に向けたアプローチの一つです。


お勧めのストレスコーピングの一つとして「グリーンエクササイズ」というものがあります。


これは水辺や緑豊かな場所で行う運動のことで、メンタル面にプラスの作用があると言われております。(参考資料⑩)


このグリーンエクササイズはわずか「5分」という短い時間でも気分の変化が起こると言われており、多忙な現代人の生活の中に取り入れやすい習慣だと思います。


在宅ワークの方は、観葉植物のお手入れ、ベランダでガーデニング、お昼休憩には公園にまで足を運ぶなど、自然と触れ合うことでストレスの解消に繋がります。


<まとめ>

いかがでしたか?肩こりといえば、すぐに運動で対処できると考えがちですが、普段、何気なく行っている行動を見直すことで発症を予防することができます。まずはライフスタイルのヒアリングを行い、活動量、食事、アルコールや喫煙状況の把握を行いましょう。


そして仕事内容やストレスチェックを行うことで肩こりの発症リスクが隠れていないかを確認してみてください。


<オンラインで肩こり予防の手助けを行うポケットセラピスト>

ポケットセラピストでは、オンライン面談によって肩こり・腰痛で悩まれている労働者に対して、行動変容を促すサービスです。


自分一人ではなかなか是正することができない生活習慣も専門家の助言とサポートによって見直すことができます。


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▼ 参考文献

参考資料①:2019年 国民生活基礎調査(厚生労働省)


参考資料②:Global, regional, and national incidence, prevalence, and years lived with disability for 310 diseases and injuries, 1990–2015: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2015

雑誌名:THE Lancet

[PMID:​​27733282 ]


参考資料③:

タイトル:Health effects of immediate telework introduction during the COVID-19 era in Japan: A cross-sectional study

雑誌名:PLoS One

[PMID:34624027]


参考資料④:

タイトル:Analysis of the accuracy of weight loss information search engine results on the internet.

雑誌名:Am J Public Health. 2014 Aug 14.

[PMID: 25122030]


参考資料⑤:

タイトル:Low Back Pain and Internet: Infopollution.

雑誌名:Turk Neurosurg. 2016 Oct 14.

[PMID: 27858395]


参考資料⑥:

タイトル:Healthy lifestyle behaviour and risk of long-duration troublesome neck pain among men and women with occasional neck pain: results from the Stockholm public health cohort

雑誌名:BMJ open

[PMID:​​31748298 ]


参考資料⑦:

タイトル:The impact of workplace risk factors on the occurrence of neck and upper limb pain: a general population study

雑誌名:BMC Public Health

[PMID:​​16984657]


参考資料⑧:

タイトル:Psychosocial work stress, leisure time physical exercise and the risk of chronic pain in the neck/shoulders: Longitudinal data from the Norwegian HUNT Study

雑誌名:International Journal of Occupational Medicine and Environmental Health

[PMID:​​27443755]


参考資料⑨:

タイトル:The impact of occupational and personal factors on musculoskeletal pain - a cohort study of female nurses, sonographers and teachers

雑誌名:​​BMC Musculoskeletal Disorders

[PMID:32948157​​]


参考資料⑩:

タイトル:What is the Best Dose of Nature and Green Exercise for Improving Mental Health? A Multi-Study Analysis

雑誌名:​​ENVIRONMENTAL SCIENCE & TECHNOLOGY

[PMID:20337470]

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