医学論文から学ぶ!姿勢で痛みに悩む人への指導方法3つをご紹介!
【記事のポイント】
1.正しい姿勢を保つ以外にも、まめな休息やセルフストレッチの導入が、長時間の不良姿勢による痛みを防ぐために有効
2.30分に一度立ち上がることで、筋骨格系の疲労感を軽減できる
3.生活習慣や運動の見直しも効果的
臨床経験を積んでいくと、患者さんへの姿勢の指導法の壁に直面することもしばしばあるのではないでしょうか。
臨床経験3年未満の若手理学療法士を調査した研究によると、今後学びたい、または勉強会に参加したい項目は姿勢・動作観察及び分析が95.1%(参考文献①)と、ほとんどの臨床家が姿勢に関する興味や探求心が強いことがわかります。
そこで今回は、座り姿勢について関連する医学論文から情報を集め、臨床で役立つ姿勢の指導方法、姿勢による痛みの解決方法をご提案したいと思います。
<臨床で指導したい、ベストな座り姿勢とは!?>
座位は腰痛の一般的な悪化要因ですが、実は最適な座位姿勢については依然として不明です。
最適な座位姿勢の選択は人によって異なって様々で、全体として、何をもって脊柱の中立的な姿勢とするか、また、何が最良の座位姿勢であるかについては、意見の相違があります。背骨の自然な形に合った、快適かつ過剰な筋肉の緊張がない、リラックスした座位姿勢が、有用であると考えられています。(参考文献②)
<まめな休息やセルフストレッチの導入>
臨床で患者さんと接していると、パソコンやスマートフォンなどを使用する際の姿勢の悩みや、作業中の首、肩の痛みの訴えも多いと思います。
近年では、正しい姿勢を保つ以外にも、作業中に休息やセルフストレッチをこまめに取り入れることが、長時間の不良姿勢による首、肩の痛みを防ぐために有効であるという論文が発表されています(参考文献③)。
「30分に一度立ち上がることで、筋骨格系の疲労感(または身体的疲労)を軽減できる」がといった報告がされており、臨床で姿勢について考えるとき、必ずしも姿勢そのものに固執することはなく、時々姿勢を変えるなど、デスクワーク中の座りっぱなしを避けるような工夫を伝えることでも、最適な指導法に繋がると考えられます。
<姿勢の指導法以外に、生活習慣や運動の見直しも!>
私自身の経験なのですが、上記論文の知見を取り入れた指導(仕事の合間の定期的な休息、セルフストレッチ等)を行ったところ、仕事中の休憩を1時間に1回取り入れたり、休日はウィーキングなどの有酸素運動を行うといった体を動かす習慣がつくことにより、姿勢を意識する回数が増え、クライアントの「デスクワーク中の姿勢を改善する」という目標を達成できたということがありました。
みなさまも正しい姿勢の指導方法に悩まれましたら、「姿勢指導+休息やストレッチなどのセルフケアの指導」という方法も実践してみるのはいかがでしょうか!
<まとめ>
今回は座り姿勢について関連する医学論文の内容から、臨床で役立つ姿勢の指導方法、姿勢による痛みの解決方法を少しだけご紹介しました。
ポケットセラピストでは、最新の医学論文や姿勢以外にも直接指導に結びつきやすい指導法を集め、日々のセラピストとしての活動に活かしています。自分が探している論文がなかなか見つからない場合でも、登録している全国のセラピスト同士で情報交換しあったり、悩んでいる症例について検討会を開くことなども可能なので、自己研鑽の場としては打ってつけです。
日々訴えの多い姿勢に関する指導内容や方法の幅が広がることで、臨床での知識の応用力や対応能力が、より向上することは間違いありません。皆さまのより一層の躍進とご活躍のお力になれる日を願って、ポケットセラピストに参加されることをお待ちしております!
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▼ 参考文献①
タイトル:若手理学療法士の苦手としている臨床能力 及び学びたい臨床能力の調査ー主観的評価法を用いてー
雑誌名:理学療法さが 2020 年 6 巻 1 号 p. 7-13
DOI:10.20813/sagapt.6.1_7
▼ 参考文献②
タイトル:What do physiotherapists consider to be the best sitting spinal posture?
雑誌名:Man Ther. 2012 Oct;17(5):432-7.
DOI:10.1016/j.math.2012.04.007
▼ 参考文献③
タイトル:Pain and electromyography reduction cause of sitting upright posture, frequent break, eye rest and self-stretching during smartphone usage
雑誌名: Work, vol. Pre-press, no. Pre-press, pp. 1-10, 2022
DOI:10.3233/WOR-210825
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