産業保健分野で活躍したいセラピスト必見!持っていると有利な資格6選
はじめに
セラピストとして産業保健分野に携わりたいのに何から取り組めば良いか分からないという方は少なくないのではないでしょうか。
産業保健分野で活躍するためにはセラピストとしての知識に加え、産業保健分野の知識や現状を知ることが重要です。なぜなら、臨床で患者さんの情報を事前に得ておくのと同じで、質の高いサポートを行うためには労働に関する知識は最低限必要だからです。
また、産業医や産業保健師、企業からセラピストの価値を認知してもらうこともポイントです。現状、産業保健分野に携わるセラピストは医療・介護の現場と比較すると非常に少ないため、セラピストがどのような良い影響を与えられるのかを示していくことも今後の重要な課題です。
そこで今回は、セラピストが産業保健分野で活かすことができる資格を6つご紹介します。最後まで読んでいただければ、産業保健分野に携わる際に持っておくと便利な資格がわかります。
資格の紹介(①〜⑥)
① 第1種衛生管理者
【資格の概要】
従業員が50人以上の事業場には必ず選任しなければならないのをご存じでしょうか。職場で働く人の健康障害や労働災害防止のために活動を行う存在であり、労働安全衛生法で定められた国家資格です。
【お役立ちポイント】
労働者を取り巻く法律(労働基準法や労働衛生法)について広く学ぶことができます。各地域の産業保健総合支援センター主催の無料研修会にも参加ができ、継続的な学習が可能です。また、産業医や産業保健師との交流が可能で専門性を認知してもらえるチャンスでもあります。
【合格率】
70%
【受験料】
6800円
② 作業管理士
【資格の概要】
産業保健人間工学会認定の資格です。より生産的で誰もが働きやすい職場づくりのために作業方法や作業姿勢を指導できるようになります。
【お役立ちポイント】
人間工学の視点から作業方法や作業姿勢のアドバイスができ、肩こりや腰痛の疾病予防に役立ちます。セラピストが得意とする分野かもしれません。
【合格率】
90%
【受験料】
研修と試験受験料合わせて約2万円
< 作業姿勢の指導例 >
< 作業方法の工夫例 >
③ 情報機器作業労働衛生教育インストラクター、腰痛予防労働衛生教育インストラクター
【資格の概要】
中央労働災害防止協会主催の講座です。厚生労働省で発表されている『情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン』や『職場における腰痛予防対策指針』に沿って労働衛生教育を担当するインストラクターの養成を目的としています。
【お役立ちポイント】
企業で活躍するセラピストはデスクワーカーを対象としたサポートをする機会が多いため、情報機器作業における労働衛生管理の知識は役に立つことは多いです。また職場の腰痛予防対策として活躍が期待できます。私も職場の腰痛対策推進メンバーとして院内研修会の講師や職員指導を行なっています。
【合格率】
3日間受講で修了証が得られる
【受験料】
8万円程
④ メンタルヘルス・マネジメント検定
【資格の概要】
大阪商工会議所が実施する産業精神保健分野に関する公的資格です。検定コースはⅠ種(マスター)、Ⅱ種(ラインケア)、Ⅲ種(セルフケア)があります。職場内での役割に応じて必要なメンタルヘルスケアに関する知識や対処方法を習得する事が可能です。
【お役立ちポイント】
心理社会的要因が強い筋骨格系障害にも対応ができます。心理職や保健師との共通言語を理解でき、協働しやすくなります。自身や同僚のケアにも役立つ知識や技術です。
【合格率】
Ⅲ種:71.2% Ⅱ種:46.4% Ⅰ種:19.8% (2021年11月7日試験分)
【受験料】
受験料はコースによって差はあるが、5千円~1万円程。
⑤ 治療両立支援コーディネーター
【資格の概要】
労働者健康安全機構が定めている両立支援活動推進の養成講座になります。医療機関、企業、公的相談機関等に所属し労働者(患者)、主治医、企業・産業医のコミュニケーションのサポートを行う者とされています。
【お役立ちポイント】
職場と医療機関の橋渡しとなる役割のため、医学・心理学・労務関連等の知識を学ぶことができます。また企業・労働者・医療機関などあらゆる視点で問題解決に対して考えることができます。視座を高めたい方は取得をおすすめします。
【合格率】
講義受講済みで修了証あり
【受験料】
無料(オンライン学習可)
⑥ 健康経営アドバイザー
【資格の概要】
東京商工会議所が経済産業省より委託を受けて運営する健康経営に関する資格制度です。上級資格の健康経営エキスパートアドバイザーもあります。
【お役立ちポイント】
経営の視点から従業員の健康について考える事ができるようになります。
【合格率】
約70%
【受験料】
オンライン受講が可能。受講料8800円
資格を現場で活かすには
産業保健分野で活かされる資格を紹介しましたが、資格を所有しただけでは職域拡大に繋がりにくいのが現状です。そのため、まずは職場にいる衛生管理者や保健師などに資格所有のアピールをすることも産業保健分野に携わることができる第一歩になるのではないでしょうか。
既に職場内で労働衛生に携わっている方は、今回紹介した資格を活かして企業や自治体など外部の産業保健分野にも挑戦してみるのも良いかもしれません。具体例として、大分県の事業として中小企業の職場改善にセラピストが同行した例をご紹介します。詳しくはこちら
資格や知識を届ける方法
今回は産業保健分野に関わりが強い資格についてご紹介しました。資格を所持することでアプローチできる方や組織が大きく変わる場合があるので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
また、今回は紹介ができませんでしたが、筆者である私は“ポケットセラピスト”という企業に勤めている方の健康をオンラインでサポートができるサービスのプラットフォームを活用しています。ポケットセラピストでは専門的な知識や技術を活かして、働く人のサポートをすることができます。また、オンラインだけでなく実際に企業に出向いてアドバイスやサポートをする場合もあります。
ポケットセラピストに登録しているセラピストは、今回ご紹介した資格を所有している人が多いのが特徴で、実際に産業保健分野で活躍している人も多数在籍しています。
新しい知見や経験を得られる機会も多く、私も日々刺激を受けています。こちらも、もしご興味がありましたら、ぜひ一度ホームページを見てみてください。
▼ ポケットセラピストにご興味を持たれた方
▼ 参考文献
①公益財団法人 安全衛生技術試験センター 資格の紹介
②一般財団法人 日本予防医学協会 作業管理士認定制度
③中災防 東京安全衛生センター
④メンタルヘルス・マネジメント®検定試験とは
⑤独立行政法人労働者安全機構 治療就労両立支援事業
⑥東京商工会議所『健康経営アドバイザーとは』
⑦大分県 ほっとはーとOITA
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